アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は慢性に繰り返す左右対称性にみられる痒みのともなう湿疹で、患者様の多くはアトピー素因を持ちます。定義上は小児では2ヶ月、大人では6ヶ月以上特徴的な部位に湿疹があるとアトピー性皮膚炎と呼びますが、特にお子様の場合は年齢と共によくなる場合が多く、必要以上にアトピー性皮膚炎を恐れる必要はありません。ただ成人まで残ってしまう方や成人になって発症する場合もあり、難治性のこともあります。アトピー性皮膚炎などの湿疹は、一度できるとかゆみが強く、掻くことにより湿疹が悪化し、またかゆくなるというかゆみの悪循環になります。またアレルギーマーチといわれるアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支喘息を併発する方も増えています。近年では、食物アレルギーは湿疹などのある皮膚からの経皮感作によって発症すると言われており、赤ちゃんや子供の頃からしっかりと予防と治療をして皮膚がつるつるしたいい状態を保つことで、将来的にアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、さらには喘息やアレルギー性鼻炎など将来のアレルギーマーチのリスクを減らすことができると言われており、日々のスキンケアが非常に重要となってきます。また、アトピー性皮膚炎にはいわゆる皮膚のバリア機能障害による外因性(70-80%)と内因性(20-30%)のアトピー性皮膚炎があるのですが、後者のものは金属アレルギーが原因として隠れている場合もあります。特に女性に多く見られ、原因となる金属を多く含む食材を控えることで症状が軽快することもあります。
当院のこだわり
- 保湿剤は患者様に合ったものを相談しながら決めます。また、保湿剤の外用方法、外用適性量についてもご説明致します
- ステロイド外用が治療の基本とはなりますが、症状によって、また患者様の希望によってステロイド以外の外用薬を提案致します
治療法
①保湿剤 | 保湿剤には皮脂膜を作る役割のエモリエントとそれに保湿因子の効果を付加したモイスチャライザーがあります。エモリエントはワセリン、亜鉛華軟膏、モイスチャライザーはヘパリン類似物質、尿素、セラミドなどの保湿成分が添加されたものですが、後者の方が皮膚炎の発症リスクを減らしたという報告があります。ただ、後者が合わないという方もいらっしゃいます。また、近年では、保湿剤にも軟膏、クリーム、ローション、泡タイプと様々な剤形のものがございます。症状や季節、患者様の生活スタイルなどに合わせて提案させて頂きます。 |
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②外用薬 | よく湿疹がある場所に一生懸命保湿を頑張られる方がいらっしゃいますが、炎症がある場所にいくら保湿を頑張っていても保湿だけではなかなか改善が見られません。そのような時はステロイド外用薬やステロイド以外の炎症を抑える外用薬を短期間塗って早く改善させることが大切です。ステロイド以外の外用薬としてはタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)やJAK阻害薬(コレクチム軟膏)などがあります。お子様でも2歳以上の方でしたら、両者とも処方することができます。いつも同じ場所に皮疹ができ繰り返しているという方には再発しにくい外用方法もお伝えしております。 |
③内服薬 | 痒みがあるところを掻かないように言われるのはとてもお辛いことと思います。そのような時は我慢せず抗アレルギー薬といわれる内服薬で痒みを抑えるのがよいと思います。しかし、これは補助的に痒みを抑えるだけで、治療の主役や外用薬になりますので、その点ご留意ください。 |
④紫外線療法 | 当院ではエキシマランプをご用意しております。全身ではなく、局所のみ当てることができるものですので、どうしても痒い部位(痒疹)などに紫外線をあてることで炎症を抑え、痒みを抑えることができます。保険診療でできます。 |
⑤皮下注射治療 | 皮下に注射をすることで痒みを改善させることのできる、デュピクセントというものもあります。比較的副作用も少なく安心して使える薬です。ご希望の方はご相談ください。 |